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2007年7月18日 (水)

匠の誇りと心

“職人”・“プロ”とお会いできるのは嬉しい。

お世話になっている方への贈り物を買いに、デパートへ行ったときのこと。

ギフトコーナーを後にして、大好きな食器を眺めて歩いていると、

籐の家具スペースを発見。

椅子、カゴ、ベッドなどが並ぶなかで、職人さんが椅子を作っていらっしゃる。

なかなか籐の家具作りを見る機会はない。

じっと見入っていると、「おもしろい?」と職人さんに声をかけられました。

「おもしろいです!……気、散りますか?」と尋ねると、

「いやぁ、問題ないですよ」と答えてくださる。

10代の頃から修行を始め、今は同じ道を選んだ息子さんと、

工房を切り盛りしていらっしゃるらしい。

親方曰く、籐ならいいものだろうと考える人がいるけれど、

相性や縁があるから、じっくり選んでほしいと。

いくつも並ぶ椅子を指し、「お嬢さん、座ってごらんなさい」と促します。

1つ目の椅子に腰掛け、背もたれまで深く座り込んでみる。

なんとも心地好い。

2つ目、3つ目と4つまで座ってみる。

みな丁寧にしっかり作られているので座りやすい。

けれど、どれも微妙に座ったときに感じるものが違う。

1つ目に戻って座る。

「これが1番しっくりくる!」と言うと、

親方は「そういうことなんですよ」と微笑みます。

もっとしっくりくるものも、あるかもしれない。

それぐらいよく吟味して自分の1点に巡り合ってほしい、と。

ベッドは、正確な値段は高すぎて忘れてしまいましたが、

何十万もして「手が出ない~!」とため息。

しかし、良いものを選んだら、一生モノ、孫の代まで継げるものだとか。

ベッドだけではなく椅子さえ、手も足も出ない。

あまり長くお話を伺って邪魔をしてはいけないと、お暇することに。

と、その前にもう1度しっくりきた椅子に座り、

「いいなぁ……いいなぁ、いつかほしい!」と心からの叫び。

親方は微笑んで、

「そのときは妥協せずに、馴染むものを手にしてくださいね」

「一生モノですから。そういうご縁、巡り合ってくださいね」と見送ってくださいました。

籐の家具とひとの縁をたくさんつくり上げてきた親方。

お話してくださったとき、家具作りの誇りを感じました。

そして謙虚。

静かに語る瞳は光りが溢れ美しい。

話しながらも、しっかりカゴを編む手もまた、心が映し出されているようで、

あたたかい感じがして美しい。

15分ほどの時間でしたが、素敵な出会いができました。

しまった! 握手してもらえばよかった。

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コメント

“握手してもらえば良かった”って、ちょっと笑ってしまいました。そういう時ってあります!
でも良い出会いがあって、心がほんわかして、蓮さんのお人柄が良いから、きっと良い出会いがあったのだと感じました。
次は忘れずに!?

投稿: グッピーちゃん | 2007年7月18日 (水) 21時26分

蓮さん、こんばんは☆
なかなか見る機会ってないですよね!きっと一つ一つ心を込めて職人さんが作っているので、同じものは一つとないのでしょう。前にTVで見たことがあります、職人さんが作った物を手放す時、「お嫁に出す気分だと」。なんだかわかる気がします。気に入ってくれたお客さんの手元に渡ることが、職人さんの幸せなんでしょうね♪
なんだか素敵なお話ですね!

投稿: れい | 2007年7月18日 (水) 22時37分

こんにちは!

籐の家具作りが見られるなんて、珍しいですね!
「一生モノ」そろそろ持ちたいお年頃です(^^)

>「妥協せずに。。手に入してくださいね」

良い言葉です。
作品に自信がないとなかなか言えないと思います。

ちなみに私が今欲しい一生モノは「包丁」です。

投稿: 寝起きのパンダ | 2007年7月19日 (木) 15時35分

グッピーちゃん、こんばんは☆
手も足も出ないデパートでも、ウィンドーショッピングしてみるものですね。親方に出会えましたから♪
親方や、「うちのにんじんはひと味違うよ」と笑う農家の女性など、
自分の道に誇りを持っているひとに出会えると、握手してほしい!って思います。
次回は忘れずに!


れいさん、こんばんは☆
ラッキーでした♪
椅子に座ってみて実感しました。同じもの、1つとしてないんですよね。「お嫁に出す気分」。なるほど~。
いつか籐の家具を手にするときは、よく吟味して「これ!」という縁で選んでくださいという言葉。
籐を知り尽くした職人だからこその受け取る側への優しさと同時に、
心を込めて作った物の気持ちよく使ってほしいという祈りでもあるんですね。


寝起きのパンダさん、こんばんは☆
珍しいもの、見ることができました♪
「一生モノ」という言葉にドキッ。親方の仕事を見ていたら、そのくらい気持ちでモノを選んで、
大切に使っていきたいなって考えました。
手も足も出なくて買い物をするわけでもない私に、「いつか」のアドバイスをくれた親方。
匠の誇りと懐の深さ、じ~んときました☆
一生モノの包丁、素敵ですね♪ご縁がありますように!

投稿: 蓮 | 2007年7月20日 (金) 00時38分

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